虫と小石でフィンは潰れる。夏のラジエター外側を20分で点検する手順
※ 当記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれています

この記事のバイク
Suzuki GSX-8R
先週の日曜、Suzuki GSX-8R(ハチ)を洗っていたときのことです。ラジエターを正面から覗いたら、フィンのあいだに虫が縦に刺さったまま乾いていました。水をかけても動かない。指でつまんで引き抜こうとしたら、虫は取れたかわりにフィンが2枚、きれいに寝ました。
そのあと調べて知ったのですが、フィンはアルミの薄板で、指の力でも簡単に形が変わります。そして倒れたフィンの分だけ、そこは風が通りません。
ちょうど同じタイミングで、ヨシムラからホンダのCB1000F/CB1000 HORNET用のラジエターコアプロテクターが出るというニュースが流れてきました。素材はステンレスのSUS304、板厚0.8mm、価格は2万4,200円(税込)で発売は8月下旬の予定だそうです。この手の商品がずっと売れ続けている理由が、寝た2枚のフィンでようやく腹に落ちました。

猛暑のいまこそ、いちばん働いてる部品。外側を見てあげる時間、20分だけ取りませんか。
作業前チェック
項目 | 内容 |
|---|---|
難易度 | ★☆☆(外側の清掃と点検だけなら初心者OK。冷却水には触りません) |
所要時間 | 20〜30分(軽い汚れなら20分ほど。作業のみで、乾燥待ちは別途30分〜) |
費用目安 | 水とウエスだけなら0円/ラジエターフィンコームを買い足しても1,000円前後/コアガード類は8,000〜25,000円程度(ヨシムラのCB1000F・CB1000 HORNET用は2万4,200円) |
必要工具 | 弱い水流が出せるホースかジョウロ、中性洗剤(薄めて使う)、柔らかい毛の刷毛または馬毛ブラシ、ウエス2〜3枚、細いマイナスドライバーまたはラジエターフィンコーム、手元を照らすライト |
対応バイク | 水冷エンジン車のみ。空冷車にラジエターはありません |
ショップ依頼推奨度 | 外側の清掃と点検はDIYで十分。冷却水の交換、コアからの水漏れ、電動ファンが回らない症状はショップへ |
ミツキ視点 | うちで水冷なのはハチだけ。Harley-Davidson Low Rider ST(ロウさん)とHonda Cross Cub 110(カブちゃん)は空冷なので、この作業はハチ専用の儀式です |
始める前に、環境の条件だけ確認しておきます。
- エンジンが完全に冷えていること。走行直後は論外で、最低でも1時間は置きます
- キーはOFF。電動ファンが不意に回り出すと、指も刷毛も危ないです
- 水を流せる場所。集合住宅の駐輪場などで水が使えない場合は、刷毛とウエスだけの乾式でも効果はあります
- 手元が見える明るさ。フィンの倒れは影でしか分からないので、ライトは実質必須です
作業手順
- 冷ます・キーOFF・まず観察する: ラジエターの正面に回り、ライトを斜め下から当てて表面を見ます。倒れたフィン、詰まった虫、貼り付いた落ち葉の位置を先に把握します。
ポイント: 正面から真っすぐ見ると潰れは見えません。光を斜めに入れて影で探すのがコツ。前走車が跳ね上げた小石の打痕は、点で凹んでいるので影が出やすいです。 - 乾いたゴミを先に落とす: 柔らかい刷毛で、フィンの向きに沿って上から下へ払います。虫の殻や葉のかけらは、水をかける前に落としたほうが早いです。
ポイント: 横方向に動かすとフィンが倒れます。必ず縦、フィンの並びと同じ向きに。 - 弱い水流で流す: ホースの水を絞って、シャワー状の弱い流れを上から当てます。距離は30cm以上あけます。高圧洗浄機は使いません。
ポイント: 高圧洗浄機は水圧だけでフィンを寝かせます。ラジエターは「時間をかけて優しく」が正解。 - 虫の跡だけ中性洗剤で: 落ちない黒い染みには、薄めた中性洗剤を刷毛で置いて数分待ち、また弱い水流で流します。
ポイント: 虫の体液は酸性で、放置するとアルミの腐食につながります。ツーリング当日に落とすのが一番ラク。 - 倒れたフィンを起こす: 細いマイナスドライバーの先か、専用のラジエターフィンコームで、1枚ずつそっと起こします。
ポイント: 力を入れるのは起こす方向だけ。奥にある冷却水のチューブを突くと水漏れになるので、深く差し込まない。 - 完全に乾かす: ウエスで周辺の水気を取り、ラジエター本体は自然乾燥させます。エアがあれば弱圧で吹き飛ばします。
ポイント: 濡れたまま放置すると錆と汚れの再付着を招きます。乾くまでが作業のうち。

え、マジで? って思ったのが、指で押しただけで曲がるってところ。工具より自分の手のほうが危ない。
よくある失敗と回避策
- 指で虫をむしる: 刺さった虫を引き抜こうとして、フィンごと寝かせてしまう。わたしがやったのがこれで、2枚まとめて倒しました → 回避策: 水と刷毛で浮かせてから落とす。直接つまむのは最後の手段にする
- 高圧洗浄機で一気に片付ける: 早く終わるかわりに、コアの広い面積のフィンが寝て、風がまとめて通らなくなる → 回避策: 水圧を落として距離を取る。急ぐくらいなら乾式で刷毛だけのほうがマシ
- 洗って終わりにする: 水が残ったまま片付けて、錆と汚れの再付着を招く → 回避策: ウエスで水気を取り、乾くまで日陰に置いておく時間を作業時間に含めて考える
仕上げ・確認
乾いたらエンジンをかけて、水温計の上がり方を見ます。すぐに違いが出るとは限りませんが、確認したいのは次の2点です。
- 渋滞や信号待ちでの水温の上がり方。清掃前と比べて、上限まで行くのが早いか遅いか
- 電動ファンが回り始めるタイミングと、回ったあとに水温が下がるか。回っているのに下がらないなら、外側の汚れ以外の原因を疑います
冷却水そのものの状態や交換時期は、外側の掃除とはまったく別の話です。そちらは以前にクーラントの役割と交換・点検の基本で書いたので、あわせて見てもらえるとちょうど噛み合います。今回の作業はコアの外側だけ、冷却水には一切触れません。
次回の目安も決めておくと迷いません。わたしは夏場は月に1回、虫の多い時期に高速や郊外を走った日は帰ってすぐ、と決めました。乾く前に落とすのが結局いちばん早いからです。
そして根本対策としてのコアガード。冒頭のヨシムラの製品のようにステンレス製のものが主流で、腐食に強く、重量増は誤差の範囲、ラジエターの冷却効率もほぼ落ちないとされています。何より、小石や虫がフィンに直接当たらなくなるぶん洗うのがラクになります。ただし車種専用設計なので、買う前に自分の車種の適合を必ず確認してください。
それと、点検してみて水漏れの跡があったり、電動ファンが回っているのに水温が下がらなかったりしたときは、そこから先は自分で触らずショップに相談してください。冷却系のトラブルは、走りながら悪化していくタイプの故障です。
まとめ
やることは3つだけです。斜めからライトを当てて影で潰れを探す、刷毛はフィンの向きに沿って縦に動かす、高圧洗浄機は使わない。工具も要らないし、冷却水にも電装にも触りません。ハチのフィンを起こし終えたあと、ガレージの照明を消す前にもう一度正面から覗きました。細い羽が並んで立っているだけの、なんてことのない眺めなのに、これで夏を越せるなという気持ちになりました。
📝 参照元
よくある質問
空冷のバイクでもラジエターの掃除は必要?
空冷エンジンにラジエターはないため、この作業は不要です。対象は水冷エンジンを積んだ車両のみになります。
高圧洗浄機を使ってはいけないのはなぜ?
フィンはアルミの薄板で、水圧だけで簡単に寝てしまうためです。倒れた面積の分だけ冷却風が通らなくなるので、弱い水流で時間をかけて落とします。
潰れたフィンは自分で直せる?
細いマイナスドライバーやラジエターフィンコームで1枚ずつ起こせます。ただし奥の冷却水チューブを突くと水漏れの原因になるため、工具を深く差し込まないでください。
GARAGE 3 のバーチャルナビゲーター
ロウさん・ハチ・カブちゃん、3台と暮らす運営者の体験を、わたしの目線でお届けしてるよ!
執筆・編集: GARAGE 3 編集部
ミツキのこと、もうちょっと詳しくは → GARAGE 3について



