マフラーを外したらガスケットは新品。潰れた1枚が排気漏れを呼ぶ
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この記事のバイク
Honda Cross Cub 110
Honda Cross Cub 110、うちのカブちゃんにスリップオンサイレンサーを付けたときの話です。マフラーを外して、新しいのを付けて、さあ終わりと思ったらエンジン始動でフランジのあたりから「パフッ、パフッ」と間の抜けた音が漏れる。原因は、外したガスケットをそのまま戻したことでした。
あとから調べたら、これはやってはいけない代表格。マフラーのガスケットは柔らかい金属が潰れて密着することで気密を作る部品なので、一度潰れたら元の厚みには戻りません。プロの現場でも、ベテランでも、「マフラーを外したらガスケットは新品」がほぼ共通見解でした。
作業前チェック
項目 | 内容 |
|---|---|
難易度 | ★★☆(工具に慣れてれば) |
所要時間 | 30分〜1時間(マフラー脱着込み。ボルトが固着していると倍はかかる) |
費用目安 | ガスケット1枚あたり数百円〜1,500円程度(車種と必要枚数による・用品店価格帯)。ショップに頼む場合はマフラー脱着工賃とあわせて数千円〜が目安 |
必要工具 | 車種のフランジナットに合うソケット(12mm・14mmなどが多い)、エクステンションバー、ラチェット、規定トルクの範囲をカバーするトルクレンチ(車種の指定値を確認して選ぶ)、浸透潤滑剤、細いマイナスドライバーかピックツール、ワイヤーブラシ、パーツクリーナー、ウエス、耐熱グローブ |
対応バイク | マフラーを脱着する全車種(排気ポートにリング状・ドーナツ状のガスケットを使う車両)。カブ系の小排気量から大型まで考え方は同じ |
ショップ依頼推奨度 | 基本はDIYで十分。ただしスタッドボルトが錆びて固着している車両、折れた経験がある車両はショップ推奨 |
ミツキ視点 | 3台の中でいちばん作業しやすいのはカブちゃん。Harley-Davidson Low Rider ST(ロウさん)は車体が重くて取り回しから大仕事なので、練習台にするならまず小さい車体から |
準備物と作業スペースの条件はこのあたり。
- 平地で、車体が確実に自立する場所(センタースタンドがあれば理想)
- エンジンが完全に冷えていること。最低でも1時間は放置する
- 新品ガスケットを手元に用意してから外し始める。品番は車種ごとに決まっているので、事前に確認しておく
- 外したボルト・ナットを並べておく小皿かトレー

3番目が本当に大事。外してから買いに行くと、その日は1日つぶれます。経験者です。
ガスケットは車種ごとに形状も厚みも違います。たとえばNTBは国内4メーカー分の純正形状をリサーチして、年式の新旧や排気量を問わず900機種に迫るラインナップを揃えているので、品番さえ分かればたいていの車種で新品が手に入ります。
作業手順
- 冷ます・確認する: エンジンを完全に冷まし、平地で車体を安定させる。作業前にサービスマニュアルでフランジナットの規定トルクを確認しておく。
ポイント: 熱いうちに手を出すと火傷するし、締結部も膨張していて正しい締め加減が出ません。焦らず冷ます。 - 新品ガスケットを手元に置く: 車種の品番を確認して新品を用意してから外し始める。枚数は車種によって1枚のこともあれば気筒数ぶん必要なこともある。
ポイント: 液体ガスケットで代用しないこと。潰れて密着する金属の変形で気密を作る部品なので、役割がそもそも違います。 - ボルトを緩める: エキゾーストパイプのフランジナット、サイレンサーのステー、接続バンドの順に、いきなり1本を全部外さず全体を少しずつ緩めていく。固着していたら浸透潤滑剤を吹いて10分は待つ。
ポイント: 力任せに回すとスタッドボルトが折れます。折れると難易度が一気に跳ね上がるので、渋いと感じたら一度手を止めて潤滑剤に頼る。 - 古いガスケットを取り除く: 排気ポートに残った潰れたガスケットを、細いマイナスドライバーかピックツールで掘り出す。周囲のカーボンはワイヤーブラシとパーツクリーナーで落とす。
ポイント: ポートの内側の合わせ面を傷つけないこと。ここに深い傷を付けると新品を入れても漏れます。 - 新品ガスケットを入れる: 形状に向きがあるものは向きを確認し、ポートの奥までまっすぐ押し込む。斜めに入れたまま組むと片当たりして一発で潰れます。
ポイント: 入れたあと指で軽く押して、全周が同じ深さで収まっているか確認する。ここだけで漏れの大半は防げます。 - 仮締めしてから本締め: 全部のボルトを手で仮締めしてマフラー全体の角度を合わせ、そこから左右均等・対角に少しずつ締めていく。規定トルクがあるならトルクレンチを使う。
ポイント: フランジとガスケットが密着したら、そこから少し増し締めするだけで十分。それ以上締め込んでもフランジプレートが曲がるだけで意味がありません。
よくある失敗と回避策
- ガスケットを使い回す: 「見た目はまだきれいだから」と戻してしまい、始動直後からフランジ付近で排気漏れ。潰れた金属は元の厚みに戻りません → 回避策: マフラーを外す予定が立った時点で、ガスケットも一緒に注文しておく。
- 片側だけ先に本締めする: フランジが傾いたまま密着してしまい、反対側に隙間が残る。ボルトにも余計な負荷がかかります → 回避策: 全部を仮締めしてから、対角に少しずつ。一気に締め切らない。
- 熱いうちに作業を始める: 火傷はもちろん、固着したボルトを熱膨張したまま回してスタッドを折る事故につながります → 回避策: 走行後は最低1時間、真夏なら日陰で冷ましてから。急ぐくらいなら翌朝にまわす。
仕上げ・確認
組み終わったら、必ず漏れのチェックをします。手順は簡単です。
- エンジンをかけてアイドリングさせる
- マフラーの排気口に厚めのウエスを当てて、軽く塞ぐ
- その状態でアクセルをほんの少しだけ開ける
- フランジや接続部から「シュー」という息漏れの音や排気が出ていないか、耳と手で確かめる

排気は熱いので、素手を近づけすぎないこと。音で分かることのほうが多いです。
漏れがなければ、そのまま数十km走ってからもう一度フランジナットを増し締めしておくと安心です。組んだ直後は締結部に熱が入りきっておらず、走って落ち着いたぶんだけわずかに緩むことがあります。
次回のためのメモも1行残しておくと後で助かります。「マフラーを外すときはガスケットも同時発注」。これだけで、同じ失敗はもうしません。
まとめ
マフラーのガスケットは、部品としては数百円。でもここをケチると、走り出した瞬間から間の抜けた排気音と付き合うことになります。わたしがまさにそれをやりました。
次にマフラーまわりを触る予定がある人は、作業日を決める前にガスケットの品番だけ調べておくといいと思います。順番が逆になるだけで、その日の作業がまるごと楽になるので。もし途中でスタッドボルトが渋いと感じたら、無理せずショップに相談してください。折れてからのほうが確実に高くつきます。
📝 参照元
よくある質問
マフラーのガスケットは再使用できますか?
できません。柔らかい金属が潰れて密着することで気密を作る部品のため、一度潰れると元の厚みに戻らず排気漏れの原因になります。マフラーを外したら新品に交換するのが基本です。
液体ガスケットで代用してもいいですか?
役割が違うため代用にはなりません。エキゾーストガスケットは金属が変形して合わせ面に密着することで気密を作る部品なので、車種指定の新品を用意してください。
排気漏れはどうやって確認しますか?
エンジンをアイドリングさせ、排気口に厚めのウエスを当てて軽く塞いだ状態でアクセルをわずかに開けます。フランジや接続部から息漏れの音や排気が出ていなければ問題ありません。排気は高温なので手を近づけすぎないでください。
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執筆・編集: GARAGE 3 編集部
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