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· 約6分で読めますメンテナンスSuzuki GSX-8R

ジグザグ走行はなぜ効かないのか。公道でタイヤを温める手順

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ジグザグ走行はなぜ効かないのか。公道でタイヤを温める手順
Suzuki GSX-8R

この記事のバイク

Suzuki GSX-8R

目次
  1. 作業前チェック
  2. 作業手順
  3. よくある失敗と回避策
  4. 仕上げ・確認
  5. まとめ

この記事のポイント

バイクのタイヤの熱は路面とのこすれではなく、ゴムがたわむときの内部の動きで生まれます。ジグザグ走行より、前輪は軽いブレーキで潰し、後輪は高めのギアでじわっと荷重をかけるほうが有効です。空気圧は必ず冷間で測り、最初の5〜10分は控えめに走ります。

去年、Suzuki GSX-8R——うちのハチのタイヤを新品に替えた直後のことです。店を出て最初のコーナーで「ん?」とわずかに滑る感覚があって、思わずブレーキを握り直しました。あのときは「新品だから」で片づけたんですが、あらためて調べてみたら、わたしがやっていた対策のほうが間違っていたと分かりました。信号待ちのたびにハンドルを左右に振って、タイヤをこすって温めていたやつです。あれ、ほとんど意味がありません。

作業前チェック

項目内容
難易度★☆☆(初心者OK。工具はエアゲージ1本)
所要時間出発前の空気圧チェック5分+走り出し5〜10分
費用目安デジタルエアゲージ ¥1,800〜2,500 / 電動空気入れを足すなら ¥6,500〜7,500(一度買えば使い続けられる)
必要工具バルブ形状に合うエアゲージ(デジタルが読みやすい)、空気を足す手段(電動空気入れ・フットポンプ・スタンドの機械)、ウエス
対応バイク公道用タイヤを履いた全車種。レース用コンパウンドを入れている場合は考え方が変わります
ショップ依頼推奨度DIYで十分。ただしタイヤに深い傷・ひび・釘があったら、走らせずにショップへ
ミツキ視点うちの3台では、ハチが一番この違いを感じます。Honda Cross Cub 110(カブちゃん)は速度域が低いので、そもそも神経質にならなくて大丈夫

準備するもの・条件は次のとおりです。

  • エアゲージ(バルブがL字・アングルタイプの車種は、ホースが首を振るタイプが使いやすい)
  • 空気圧の指定値(車体のチェーンケース・スイングアーム・シート下などのラベル、または取扱説明書)
  • 走り出す前の車体。前日の夜か、当日の出発前に測ります
  • 最初の数kmを、急がずに走れるルート(信号の多い幹線より、流れの穏やかな道が向いています)
迷ったら、まず現物を見てみるといいかも。
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作業手順

  1. 冷えているうちに空気圧を測る:メーカーの指定空気圧は「冷間」=走行前の冷えた状態での数字です。まだ一度も走らせていないタイミングで測ります。
    ポイント: 走行すると空気は熱で膨張します。200kPaで出発したタイヤが、高速を走ったあとには220〜230kPaまで上がることもある。温まった状態で「高いな」と思って抜くと、冷えたときに大幅に足りなくなります。
  2. 指定値まで合わせて、タイヤの表面をひと回り見る:空気を足したら、ついでに溝の深さ、ひび、刺さりもの、偏摩耗をぐるっと確認します。
    ポイント: ここで異常が見つかったら、この先の手順は無意味です。温める以前の問題なので、そのままショップへ。
  3. 走り出したら、前輪はブレーキで「潰して離す」:直線で軽くフロントブレーキをかけて、また離す。これを穏やかに繰り返します。
    ポイント: タイヤの熱は路面とこすれて生まれるのではなく、ゴムが変形するときの内部の動きで生まれます。消しゴムを強く押しつけて動かすと温かくなる、あのイメージ。だから「こする」より「潰す」ほうが効きます。
  4. 後輪は、高めのギアで低回転からじわっと開ける:3〜4速くらいの低い回転から、ゆっくりスロットルを開けて荷重をかけます。
    ポイント: 速度を上げる必要はまったくありません。必要なのは「タイヤに力をかけて、たわませる」ことなので、丁寧なブレーキとスロットル操作だけで足ります。
  5. これを数分続けて、そこから少しずつペースを上げる:目安として最初の5〜10分。そのあいだはバンク角も控えめにしておきます。
    ポイント: 気温が低い日や路面が濡れている日は、温まっていてもグリップの絶対量が下がります。「温めたから大丈夫」ではなく「温めても慎重に」が正解です。
ミツキ

「こする」じゃなくて「潰す」。この言い換えだけで、走り出しの操作が全部つながった気がする。

よくある失敗と回避策

  • 信号待ちからのジグザグ走行:わたしがやっていたやつです。表面をこすっているだけでゴムの芯までは温まらず、しかも冷えたタイヤに横方向の急な入力を与えることになります。 → 回避策: 直線でのブレーキとスロットルに置き換える。左右に振るのをやめるだけで、危険な操作がひとつ減ります。
  • 温まったタイヤで空気圧を合わせてしまう:ツーリング先のスタンドで「なんか高いな」と抜いて、翌朝スカスカ、という順番。 → 回避策: 調整は出発前の冷えた状態で。出先で測るなら、指定値より高く出るのが正常だと思って触らない。
  • 休憩後に、走り出しからペースを戻す:道の駅で30分止めていれば、タイヤは普通に冷えます。ここが一番ヒヤッとしやすい。 → 回避策: 休憩明けは、朝の走り出しと同じ手順をもう一度。3分でいいので、丁寧に入れ直す。

3つのうち一番やりがちなのは、たぶん最初のジグザグです。わたしも長いことやっていましたし、教習所や動画で見た記憶からそのまま続けている人は多いと思います。

ヒマリ

えっ、わたしもやってました…! 走り出しはとりあえず左右に振るもの、だと思い込んでたんですけど、あれ意味なかったんですね…。

やめても何も失わないので、安心してください。前はブレーキで縦に潰す、後ろはスロットルで荷重をかける。この2つに置き換えるだけです。

仕上げ・確認

走り出して10分ほど経ったら、停車してタイヤの表面に手を当ててみてください。素手で触れる程度のほんのり温かさがあれば、ちゃんと熱が入っています。熱くて触れないほどになるのは、公道ではまず起きません。ただしブレーキローターとマフラーは本当に熱いので、そこには触れないように。確認するのはタイヤの接地面まわりだけで十分です。

そのうえで、確認しておきたいのはこの4点です。

  • そもそも温めが必要なタイヤか:一般的な公道用タイヤ(ツーリング・ストリート向け)は、温めなくても安全に使えるように設計されています。丁寧な走り出しは保険であって、儀式ではありません。本当にウォームアップが前提になるのは、サーキット向けのレース用コンパウンドを入れている場合です
  • 新品に替えた直後かどうか:新品タイヤは温まり方とは別に、表面の状態そのものが慣らし前です。ここは新品タイヤ交換後に焦らないためのひと手間のほうが詳しいので、替えたばかりの人はそちらを
  • 次に空気圧を測る日:月に1回か、長距離の前日。カレンダーに入れておくと忘れません
  • タイヤの製造年週と残溝:これは温めとは別軸の話ですが、ここが終わっているタイヤは何をしても滑ります。タイヤ点検を10分で一周する手順にまとめてあるので、あわせてどうぞ
ミツキ

手で触って「ほんのり温かい」が正解ライン。熱々を目指す必要はまったくないよ。

まとめ

タイヤはこすって温めるものではなく、押して、たわませて温めるもの。覚えるのは「前はブレーキ、後ろはスロットル、最初の5分」の3つだけです。

わたしはこれを知ってから、走り出しのジグザグをやめました。やることが減って、しかも安全になったので、我ながらいい乗り換えだったと思っています。今度の週末、走り出しの5分だけ意識してみてください。

よくある質問

公道でタイヤを温める必要はありますか?

一般的な公道用タイヤは、温めなくても安全に使えるよう設計されています。丁寧な走り出しは保険であって必須の儀式ではありません。レース用コンパウンドの場合のみ、ウォームアップが前提になります。

ジグザグ走行では温まらないのですか?

表面をこするだけでゴムの内部までは温まりません。しかも冷えたタイヤに横方向の急な入力を与えることになるため、危険なだけになりがちです。

空気圧はいつ測るのが正解ですか?

指定空気圧は「冷間」=走行前の冷えた状態の値です。走行後は熱膨張で110〜115%程度まで上がるため、その状態で抜くと冷えたときに不足します。

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執筆・編集: GARAGE 3 編集部

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