2ストロークの新車が日本を走った。VINSドゥエチンクエンタは予価860万円
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イタリアVINS Motorsの2ストローク250「Duecinquanta」の開発車が日本で公道試乗されました。249.5ccの水冷2ストV型2気筒で83HP、乾燥112kg。国内予価は860万0000円(税・輸送費別)、日本デリバリーは2027年初頭の予定です。
249.5cc、83馬力、乾燥112kg。この3つが同じ1台の数字だと知って、わたしは一度スクロールを戻しました。しかもこの馬力を出しているのは2ストロークエンジンです。博物館のガラス越しに眺める過去の話ではなくて、2026年8月の日本の路上で撮られた写真に付いていた数字でした。
イタリアのVINS Motorsが作る「Duecinquanta(ドゥエチンクエンタ)」。輸入元のモータリスト合同会社が持ち込んだ開発車を、専門誌が公道で走らせたインプレッションが2026年8月18日に公開されました。国内希望小売価格は予価860万0000円(消費税・輸送費別)、量産モデルの日本デリバリーは2027年初頭の予定です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何が起きた | イタリアVINS Motorsの2ストローク250「Duecinquanta」の開発車が日本に上陸し、公道インプレッションが公開された |
| 発売時期・実施時期 | 量産モデルの日本デリバリーは2027年初頭の予定 |
| 対象モデル・エリア | Duecinquanta(日本仕様/輸入元はモータリスト合同会社) |
| 価格帯 | 予価860万0000円(消費税・輸送費別) |
| 一次ソース | VINS Motors 公式サイト |
| ミツキ視点 | 83馬力より、乾燥112kgのほうが震える。うちのハチとほぼ同じ出力を、乾燥での話だとしても半分ちょっとの重さで出している |
249.5ccの2ストロークが、どういう作りなのか
エンジンは水冷2ストロークの90度V型2気筒で、排気量は249.5cc。最高出力は83HP/1万1700rpmと公表されています。乾燥重量は112kg。ホイールベースは1380mm、タイヤは前120/70-17、後150/60-17です。なお出力については、7月末に公開された別媒体のインプレッションでは85psという数字も出ています。走っているのが開発途上の個体なので、量産仕様の最終値は改めて確認したいところです。
数字より驚いたのは中身の作りのほうでした。フレームはカーボンモノコック。フロントの足まわりはダブルAアーム式のカーボン製で、リアはプッシュロッド式のサスペンションにカーボンスイングアームという組み合わせです。ブレーキは試乗した個体がJ.Juan製で、量産モデルではブレンボが入る予定とされています。
そして今回走ったのは量産車ではありません。開発車そのもので、まだ世界にこの1台しか存在しないそうです。世界に1台のプロトタイプが日本の一般道を走った、という時点でだいぶ普通ではない話でした。
112kgを、うちのハチと並べてみる
ここでうちのバイクを持ち出します。わたしの通勤から峠までの相棒、Suzuki GSX-8R——あだ名は「ハチ」です。ハチは775ccの水冷並列2気筒で、国内仕様の最高出力は80PS。車両重量は205kgです。
並べるとこうなります。
| VINS Duecinquanta | Suzuki GSX-8R(ハチ) | |
|---|---|---|
| エンジン | 水冷2ストローク90度V型2気筒 249.5cc | 水冷4ストローク並列2気筒 775cc |
| 最高出力 | 83HP/1万1700rpm | 80PS(国内仕様) |
| 重量 | 112kg(乾燥) | 205kg(車両重量) |
| ホイールベース | 1380mm | 1465mm |
| タイヤ(前/後) | 120/70-17/150/60-17 | 17インチ/17インチ |
出力はほぼ同じ。ただし重さの前提が違います。112kgは乾燥重量なので、ガソリンもオイルも冷却水も入っていない状態の数字です。ハチの205kgは全部入れて走り出せる状態の数字。条件をそろえていないので単純比較はできません。
それでも、液体類を常識的な量だけ足して130kg前後と見ておいても、ハチより70kg以上軽い計算になります。人ひとりぶんです。同じくらいの馬力を、人ひとり軽い車体で受け止めるとどうなるのか——想像しようとして、うまく像が結びませんでした。

え、マジで? 馬力が同じで、人ひとり軽いって。ハチに乗ってる身としては、数字を見た瞬間に体が想像を放棄した。
2ストロークが令和まで残れた理由
2ストロークが市販車から消えた最大の理由は排出ガス規制です。混合気の一部がそのまま排気側に抜けてしまう構造上、規制値との相性が悪すぎました。だから「もう新車では出ない」が長いあいだ前提だったんです。
Duecinquantaは、その前提をひっくり返してユーロ5+に適合しています。専用設計のエンジンで規制をクリアしたうえで、公道を走れる形にまとめてきた。ここが今回いちばん大きいところだと思っています。
正直に書くと、わたしは2ストロークの新車を一度も見たことがない世代です。免許を取ったのが2018年で、最初の1台は中古のHonda VTR250、次がKawasaki W800。今の3台に落ち着くまで、2ストは常に先輩たちの思い出話の中にありました。音がすごかった、加速が別物だった、という話を聞くだけの側です。
だから「懐かしい」とは書けません。わたしにとってこれは復刻ではなく、単純に見たことのない新種でした。250ccクラスに新しい技術が下りてくる流れ自体はいまも続いていて、可変バルブリフト機構を載せてきたスズキGSX250R-Fのような例もあります。ただ、燃焼方式そのものを引き戻してきた例は、わたしが見てきた範囲では初めてでした。
860万円という数字を追いかけてみた
予価860万0000円。ただしこれは消費税と輸送費が別の数字です。気になって過去の報道もたどってみたところ、2026年7月末の別媒体では990万円という金額が出ていました。税と輸送費、それに輸入の諸手続きを積むと、そのあたりに着地するという見立てなのだと思います。欧州での価格も4万3000ユーロ前後とされていて、桁として矛盾はありません。
つまり、いま出ている数字は「車両だけの予価」と「日本で手にするまでの総額」が混ざって流通している状態です。買う立場で見るなら、車両価格だけを見て資金計画を立てると足りなくなります。
そのうえで、この金額は「ぼったくり」とは違う種類のものだとも感じました。カーボンモノコックのフレーム、カーボンのアーム類、そして専用に起こした2ストロークのV型2気筒。どれも数を作って安くする方向と真逆にある部品です。高くしているというより、安くする方法が構造的に無い。

値段を見て引くより先に、部品表を見て納得しちゃった。これ、量産で薄めようがない作り方だ。
これは「買う人の話」じゃないと思う
わたしは買えません。買う予定もありません。それでもこのニュースを追いかけたのは、値段や馬力とは別のところに意味があると思ったからです。
2ストロークは、規制で退場した技術という扱いでした。そこに「現行の規制の中でも成立させられる」という実例が1台出てきた。実例が1台あるかゼロかは、技術の話としてはかなり違います。ゼロだと議論は終わりますが、1台あると「じゃあどこまで下ろせるのか」という話が始まるからです。
そのうえで、誰に刺さる話なのかを切り分けておきます。
- 刺さる人:2ストの新車をもう一度見たかった人。排ガス規制と技術のせめぎ合いを追いかけている人。少数生産のメカニズムそのものに価値を感じる人
- あまり関係ない人:実用の足を探している人。維持費や整備性を優先したい人。少数生産の輸入車である以上、部品の供給や見てもらえる店の数まで含めて考えると、日常の相棒には向きません
わたしは前者寄りの気持ちで見ていますが、財布としては完全に後者です。せめて実車を見られる機会があれば行きたい、というのが正直なところ。輸入元のモータリスト合同会社は予約者とメディア向けの試乗会を開いていて、一般が触れられる場は今のところ限られています。
まとめ
249.5ccの2ストロークV型2気筒が83馬力、乾燥112kg、カーボンモノコック。予価860万0000円(消費税・輸送費別)で、日本デリバリーは2027年初頭。ここまでが今回の事実です。
数字を全部忘れても、ひとつだけ残るものがあります。2026年の夏、2ストロークの新車が日本の路面にタイヤを乗せた。長いあいだ無理だと思われていたことが、静かに一度起きた。それだけで、今日のところは十分な気がしています。
もっと知りたい人へ
- VINS Motors 公式サイト — Duecinquantaのモデル情報と技術解説
- モータリスト:VINS × Langen 特設サイト — 国内の取り扱いラインナップと問い合わせ窓口
- モータリスト合同会社 公式サイト — 所在地・営業時間・試乗の条件
よくある質問
VINS Duecinquantaは日本で公道を走れますか?
ユーロ5+に適合した公道向けモデルで、輸入元のモータリスト合同会社が国内で取り扱っています。2026年8月に走ったのは世界に1台の開発車で、量産モデルの日本デリバリーは2027年初頭の予定です。
価格はいくらですか?
国内希望小売価格は予価860万0000円で、消費税と輸送費は別です。税・輸送費・輸入の諸手続きを含めた総額として990万円という数字も報じられています。
なぜ今になって2ストロークの新車が出せるのですか?
2ストロークは混合気が排気側へ抜ける構造上、排出ガス規制との相性が悪く市販車から消えました。Duecinquantaは専用設計の水冷2ストロークV型2気筒でユーロ5+に適合させています。
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執筆・編集: GARAGE 3 編集部
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