765という数字が動く。トライアンフが2027年のMoto2エンジンを刷新
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この記事のポイント
トライアンフが2026年8月6日、2027年シーズンから投入するMoto2用の新型レースエンジンを発表しました。ピーク出力が約6%向上し、エンジン単体で2kg軽量化。排気量の拡大も公表され、エンジンマウント位置が変わるためシャシーも新設計になります。
765。ストリートトリプルのタンクにも入っている、トライアンフにとってほとんど記号みたいな数字です。その765が動くかもしれません。2027年からMoto2に供給する新型レースエンジンについて、トライアンフが「排気量を拡大する」と明言しました。出力は約6%向上、エンジン単体で2kg軽量化。ただ、この発表でわたしが一番反応したのは、性能の数字ではなく排気量のほうです。Moto2のエンジンは、公道で売られているストリートトリプル765と地続きだからです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何が起きた | トライアンフが2027年シーズン投入の新型Moto2レースエンジンを発表(2026年8月6日、イギリスGP・シルバーストンを前に) |
| 発売時期・実施時期 | 2027年シーズンから実戦投入。年内に非公開テストを経てサーキットデビュー予定 |
| 対象モデル・エリア | Moto2クラスの共通エンジン(全チーム同一仕様)。市販車ではない |
| 価格帯 | 非売品(レース専用の共通エンジン) |
| 一次ソース | Triumph Motorcycles 公式ニュース |
| ミツキ視点 | 「排気量を上げる」と公式が明言したのが一番のニュース。765ccという数字が動く前提の話になった |
変わるのは、ほぼエンジン全部
トライアンフの発表によると、2027年の新エンジンで手が入るのはこのあたりです。
- シリンダーヘッドを新設計
- バルブトレインを低慣性のものに刷新
- ポートの流量を増やし、圧縮比を上げた新しい燃焼室
- クランクケースと内部部品を、上がった出力に耐えるよう一新
- 吸気の取り込み位置とエンジンマウント位置を変更
結果として、ピーク出力が約6%向上して、エンジン単体で2kg(4.4ポンド)軽くなります。形式は直列3気筒のまま。そして排気量については「拡大する」とだけ公表されていて、具体的な数値は「そう遠くないうちに」出すとされています。
正直、6%という数字だけなら大がかりなモデルチェンジの範囲です。でも「排気量が変わる」と「マウント位置が変わる」がセットで入っているのが、この発表の本気度だと思いました。ヘッドだけ替えて出力を絞り出した、という話ではないということです。

え、マウント位置まで動くの? それってフレーム側が全部やり直しじゃない…!
シャシーメーカーは、2027年用を一から作ることになる
Moto2はエンジンが共通で、シャシーは各メーカーが作るクラスです。そこにエンジンマウントの位置変更と吸気位置の変更が入るということは、既存フレームの流用ができないことを意味します。トライアンフ自身も、シャシーメーカーは2027年に向けて完全に新しいシャシーを開発する必要がある、と説明しています。
つまり2027年のMoto2は、エンジンもフレームも同時に総取り替えになる年ということです。開幕直後は各チームのセットアップがバラつくはずで、そこがそのまま順位に出る。観る側としては、けっこうおいしいシーズンになりそうです。
8シーズン、1,926,132kmぶんのデータ
今回の刷新の根拠として、トライアンフが挙げているのが走行距離です。2019年に独占供給を始めてから8シーズンで、Moto2のマシンが積み上げた距離は1,926,132km。約193万km、地球のまわりを48周する距離を、765ccの直列3気筒が全開で走り切った計算になります。
市販車の開発でここまでのデータを取るのは、まず不可能です。しかもそのすべてがレースという最悪条件で、同じ仕様のエンジンを大量に走らせて取ったもの。トライアンフのチーフ・プロダクト・オフィサーであるスティーブ・サージェント氏は、今回の発表をトライアンフとMotoGPのパートナーシップにおける大きな前進だと表現しています。MotoGP側のスポーティング・ディレクター、アルフォンソ・カルトゥホ氏も、Moto2クラスにとって大きな一歩だとコメントしました。

193万kmって、耐久試験じゃなくて実戦で貯まった数字なんだよね。重みが違うと思う。
ここからが、公道の話
Moto2のエンジンは、ストリートトリプル765 RSのアーキテクチャがベースになっています。レース用に起こした専用設計ではなく、市販車のエンジンを土台にしている。だからレース側の刷新は、そのまま「次のストリートトリプルはどうなるのか」という話につながります。
そしてこの結びつきは、すでに商品の形になっています。「Street Triple 765 Moto2 Edition」という限定車があって、日本にも95台が導入されました。内容はこんな具合です。
| 項目 | Street Triple 765 Moto2 Edition(2026年モデル) |
|---|---|
| 価格 | 199万5000円(税込) |
| 限定台数 | 国内95台/世界1,000台 |
| エンジン | 水冷4ストローク直列3気筒 765cc |
| 最高出力 | 130PS/12,000rpm |
| 最大トルク | 80N·m/9,500rpm |
| 車両重量/シート高 | 188kg/839mm |
| 足まわり | オーリンズNIX30フルアジャスタブル倒立フォーク、ブレンボ、クリップオンハンドル |
| 専用装備 | ビレットトップヨークにシリアルナンバー刻印、シート/サイレンサーのMoto2バッジ、起動時のTFTにMoto2ロゴ、カーボンパーツ |
ちなみに日本のラインナップでは、ストリートトリプル765 Rが125万4000円、RSが156万5000円です。Moto2エディションはRSより43万円ほど高い。その差額がオーリンズとブレンボとカーボンとシリアルナンバーだと考えると、価格の付き方としてはむしろ素直だと思います。
で、ここに2027年の話が乗ります。レース側の排気量が上がるということは、その土台になっている765ccの数字も、いずれ動く可能性がある。「765」という数字はストリートトリプルにとってタンクのグラフィックにまでなっているアイデンティティなので、そこが変わるとしたら、けっこうな事件です。もちろん公式は市販車について何も言っていないので、ここはわたしの想像の範囲ですが。
どう読むかは、立ち位置で変わる
この発表、読み方が2通りあると思っています。
- レースを観る人:2027年は、エンジンもフレームも新品になる年。序盤の混戦と、そこから抜け出すチームの見極めが楽しみどころ。トライアンフの供給は2029年まで延長が決まっているので、この新エンジンは3シーズン戦うことになります。しかも同じ2027年は、MotoGPクラスが850ccへ変わる年でもあります。上のクラスも下のクラスも同時に総取り替えという、なかなかない年です
- 公道の次のモデルを待つ人:見るべきは排気量の発表。数字が出た日が、次のストリートトリプルを占う日になります
わたしはサーキットを走ったことがなくて、レースはずっと観る側で楽しんできました。それでもこのニュースが刺さるのは、レースで削り出された答えが、いつか自分が買えるバイクの形になって降りてくるからです。Moto2エディションのシリアルナンバーがトップブリッジに刻まれているのも、たぶんそういう地続き感を売っているんだと思います。

うちのSuzuki GSX-8Rは775ccで80PS。同じくらいの排気量で130PS出す世界があるって、想像すると笑っちゃうよね。
まとめ
2027年のMoto2は、出力6%増・2kg減・排気量アップの新エンジンで走ります。シャシーも作り直しになるので、シーズン序盤から荒れる可能性が高い。そして排気量の具体的な数字が出る日は、公道のストリートトリプルを待っている人にとっても、たぶん一番大きなニュースの日になります。
次のトライアンフの発表を、レース好きもストリート好きも一緒に待つことになる。そういう構図って、なかなかないと思います。
もっと知りたい人へ
- Triumph Motorcycles 公式:新型Moto2レースエンジンの発表 — 変更点と関係者コメントの原文
- MotoGP 公式:Triumph reveal new Moto2 race engine for 2027 — テスト計画と累計走行距離
- Triumph Japan 公式:ストリートトリプル765 — 日本仕様のグレードと価格
- Triumph Japan 公式:正規販売店検索 — 実車を見に行くとき用
よくある質問
新しいMoto2エンジンの排気量はいくつになりますか?
トライアンフは「排気量を拡大する」と公表しましたが、具体的な数値は未発表です。詳細は追って発表するとしています。
現行のMoto2エンジンは何ですか?
2019年から供給されている765ccの直列3気筒で、ストリートトリプル765 RSのアーキテクチャがベースです。8シーズンで累計1,926,132kmを走りました。
市販のストリートトリプルも排気量が上がりますか?
市販車について公式の発表はありません。ただしMoto2エンジンはストリートトリプル765を土台にしているため、公道モデルへの波及を注目する声があります。
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